経営コンサルタント歴40年余の経験を活かしてお手伝いしています 
 あたりまえ経営のきょうか書

 
“真”のプロが実践している発想法と行動術

あたりまえ経営のきょうか書

ビジネスパーソン編


 「あたりまえ経営のきょうか書」は、「時代即応企業創りを目指して企業体質”強化”する”教科書”」として、経営コンサルタント歴40年余の実体験から、そのノウハウをご紹介いたします。

 企業経営者や管理職だけではなく、経営コンサルタントや士業の先生方にも参考となると信じています。
 
■ 3 ビジネスパーソンがめざす一歩上の発想とスキル


 時代の変化は大きく、速く、グローバルに展開されています。学歴や職歴など、過去の知識や情報がそのまま活かせる機会は、年々減少してきています。

 一方で、成長過程やビジネスを通じての経験は、それを礎として、現在でも、将来にも活かせるでしょう。しかし、使い方次第では、陳腐化してしまい、かえって新しい時代の足かせにもなりかねません。

 とりわけ「思考法」は、時代に即したスキルを身に付けていきませんと、「過去の延長線上での判断」に繋がってしまい、時代に即した意思決定ができなくなりかねません。

 時代に即したスキルを磨きながら、業務に活かし、自分の更なる成長に繋げるにはどうしたらよいのでしょうか。その方法は、多岐にわたると思いますが、そのヒントとして、一助になるように、40年余の経営コンサルタント歴からお話して参りますので、参考にしてくださると幸いです。


■3-2 思考法で一段上のビジネスパーソンに


 ビジネスパーソンが、業績を上げられるかどうかの要因の一つに「思考法」があります。思考法の違いで、業績結果が大きく異なることが多いのです。

 ところが、この思考法を身に付けようとしてもなかなか難しいことです。

 思考法を身に付けて、実務に活かせるようになるためには、ポイントを押さえ、実務に使いながら、そのレベルを上げていく、地道な積み重ねが必要です。

 思考法のポイントをご紹介しますので、それを繰り返し実行してみて下さい。そのためには、このポイントを繰り返し読むだけではなく、実務に使ってみるという方法が、遠回りのように見えて近道です。

 それを実行できるかどうかが、あなたの思考法を変えられるかどうかの分岐点です。




■3-20 クリティカル・シンキング的発想を持て


 「オレオレ詐欺」があとを絶たないで、残された人生を何とかやりくりしていこうというような高齢者が被害を受けて苦境に立たされるというようなことが続いています。

 「なぜ、同じような手口に騙されるのだろうか?」と若い人は思うかもしれません。否、同世代の高齢者の中にも、その様な疑問を持たれる方がいらっしゃいます。

 オレオレ詐欺を働く側の巧妙な演技があるからなのでしょう。

 しかし、そこに、「日本人の人の善さ」が主因ではないのかと考えます。「人を疑うことができない」、「Noといえない」など、高齢者に独特の心理といいますか、性癖があるからではないでしょうか。


 長年、経営コンサルタント業に携わってきて、これは、けっして、高齢者だけの問題ではないことを感じています。

 企業におきまして、紙の伝票が少なくなった昨今ですが、やはり、作業指示などには、伝票が必要なことが多いです。

 「なぜ、その伝票を書くのですか?」とクライアントの社員に問うことがあります。

 「会社の規則ですから」「むかしから、このようにやっています」「手順書に書いてありますので」「前任者から引き継いでいます」というような回答がかえってくることがあります。

 その伝票の目的と伝票の流れをトレースして行きますと、伝票上のデータの一部が不要であったり、伝票そのものが意味を成さなかったりと、重複したり、無駄であったりする作業で時間をロスしていることが多いのです。

 従来の慣行に従うことは必要ですが、それに対してクリティカルに見ることにより、無駄や重複を避けることができることが多いのです。


 上司から、「この書類を処理しておいてくれ」と指示を受けたある社員は、「向学のためにお尋ねするのですが、この作業は、どのような経緯で発生し、どの様な目的で行われるのでしょうか」と作業の期限だけではなく、目的も確認するようにしているそうです。

 その結果、上司も、指示を出すときに、ただ単に指示を出すだけではなく、目的や期限を伝えるようになってきて、業務上のトラブルや錯誤によるミスが少なくなったそうです。

 それだけではなく、その作業の必要性そのものにも言及することになり、業務改善も進むようになってきました。

 「作業の手順法や必要性」など、従来の流れに流されて継続しがちですが、一旦立ち止まって、その作業について考える機会を持つことが大切です。

 このように、現状をそのまま受け入れるのではなく、批判的に見直すことが必要です。これを「クリティカル・シンキング」の手法を適切に用いて行いますと、業務改善が日常化して、経営品質の高い企業に変身できます。

 クリティカル・シンキングの「クリティカル」というのは、「批判的な、厳しく批判する、危機的な」というような意味を持ちます。すなわち、クリティカル・シンキングとは、「事象を批判的に見て思考する」スキルのことです。

 ロジカル・シンキングとの親和性が高いですので、この両者をセットにして習得することをおすすめします。



■3-21 論理思考発想を身に付けよう


 ビジネスの世界だけでなく、日常生活においても「論理的に思考し、自分の考えを相手にきちんと伝えたい」と考えることがあるでしょう。では、その力をどのように身に付けたらよいのでしょう。

 論理的に思考するにはちょっとしたコツが必要です。コツというと難しく感じますが、実は子供の方が、平素からそのコツをよく使っています。「お母さん、なぜ夕日は赤いの?」「それって、どうなるの?」など、「なぜ?」からスタートすればよいのです。

 でも次に、その答えをどのように導き出したらよいのか? どのように説明したら理解してもらえるのか? どう話したら納得してもらえるのか? といった一連のステップをスムーズにできるようにするには、「ロジカル・シンキング」のトレーニングを積んで、論理的に考える癖を付けていなくてはなりません。

 ロジカル・シンキングで思考力を付けると、難しい問題も次第に論理思考ができるようになります。慣れないうちは、判断や結論を導くのに時間がかかるかもしれません。しかし、ロジカル・シンキングを繰り返しているうちに、難題をぶつけられても自信を持って対応できるようになります。すなわち、ロジカル・シンキングは「思考の瞬発力を養う」ことができる近道なのです。

 ロジカル・シンキングとは何か、そのポイントを理解しますと、実務に活かせるようになるでしょう。しかし、それを知識として身に付けるだけでは活かすことは難しいものです。「習うより慣れよ」、ロジカル・シンキングは繰り返して「体で覚える」ことが大切です。


 出典:「ロジカル・シンキングがよくわかる本」(今井信行著 秀和システム)まえがきより





■3-22 ゼロベース思考を身に付ける1/3 ~ 阻害要因


 私達は、常識とか習慣にとらわれて、思考も、それに引きずられてしまいがちです。

 「ゼロベース思考」の重要性や効能を、頭では理解できているつもりですが、いざ、ゼロベース思考を実践しようとしますと、常識や習慣、経験、さらには自我や欲望までもが邪魔をしてしまいます。

 ゼロベース思考とは、「過去の延長線上でのみ、ものごとを考え、判断し、結論を出す」ことからの脱却といえます。すなわち、それらの思考の枠組みを取り払って考えることをゼロベース思考といってよいでしょう。


 私達が思考するときには、なぜゼロベース思考が疎外されてしまうのでしょうか。

 ひとつには、「木を見て森を見ず」状態で、ものごとを俯瞰的・大局的に見ないで、顕著な事例や目の前の現象にとらわれすぎてしまい、全体の中での位置づけが不明確になってしまうことにあります。

 「木も観て森も観る」ということを忘れてしまいますから、マイナーなことと重要なことの区別が曖昧になってしまうのです。

 では、なぜ、そのようになってしまうのかと言いますと、「目的の本質」、すなわち「目的のコンセプト」が曖昧であることが多いです。

 その上、目的と手段を混同し、それらを混在させて、同じレベルのことと誤認してしまうことです。

 目的を確認せずに闇雲に考え、行動しても、前途の霧は必ずしも晴れず、結果として問題解決に繋がらないのです。

 現象にのみとらわれてしまい、その背後にある原因や問題の本質を見極めることができないでいるのです。





■3-23 ゼロベース思考を身に付ける2/3 ~ 必要性


 ゼロベース思考というのは、ビジネスパーソンにとって、不可欠なスキルのひとつといえます。しかし、具体的に、どのようにしたら良いのかが解っている人がどれ程いらっしゃるでしょうか。それを実践できている人となりますと、さらに少ないでしょう。

 ゼロベース思考を実施して、効果を上げている人は、どの程度の割合なのでしょうか。ここでは、ゼロベース思考を阻害する要因が何かを知ることができましたら、それを裏返して、対策を練るだけではなく、実際に実行してみましょう。


 物事に取りかかる前に、自分がしようとしていることの「目的の本質」はなにか、その「コンセプト」は何であったか、「自分は、何のためにこれに取り組もうとしているのか」という視点で振り返って見ると良いのです。

 ゼロベース思考ができない原因を理解できましたら、その対策を考えてみましょう。

 まず、目的の本質を追究するということに対して「重考(考えを重ねる)」をしたのかどうか、その方法は、間違えていないのかどうか、チェックをします。

 ゼロベース思考が必要なときというのは、新戦略など、重要な意思決定を迫られているときとか、これまでに直面したことのないような壁に遭遇したとか、新規事業を立ち上げたいですが、どの様に取り組んだら良いのか、等々、のケースが多いと思われます。

 それぞれの具体的な取り組み策は、テーマにより異なりますが、ゼロベース思考を実施してみることは、多くの問題解決に共通して有益であるといえます。





■3-24 ゼロベース思考を身に付ける3/3 ~ 具体策


 ゼロベース思考をするには、いろいろな角度から、問題・課題を見つめることです。

 いろいろな角度から、見つめる方法として、「時と場所の条件を整える」ということを私は実行しています。

 上述のように、「重考」しても、良い知恵が浮かばないときには、一旦、その問題から離れてみることです。

 音楽を聴いたり、趣味に関連することをやってみたり、時間があれば、温泉旅行に行ってみたりと、人により、気分転換の方法は異なるでしょう。

 早ければ、息抜きの時に「ひらめき」がおりてくるかもしれません。

 息抜きの後で、その問題に再び取り組みますと、問題自体が、これまでとは異なるものに見えてくることもあり、ひらめきがおこることもあります。これまで重考してきたことが、さらに熟成し、形となってくることもあります。

 時間という、素晴らしいツールを上手に使いながら、空間軸を変えてみるということは、さらに効果を上げるでしょう。

 上述の「温泉に行く」というのは、すでに時間軸と空間軸を掛け合わせた行為といえます。

 温泉に行かなくても、近所を散歩するだけの空間軸変更でも大いなる効果が出ることがあります。ワンちゃんと戯れるのも良いでしょう。軽い体操をしたり、ウォーキングをしたりすることも効果に繋がることもあります。

 難問に取り組む前に、座禅を組むことを勧める人もいます。私は、座禅については正式な経験もないのですが、腹式呼吸をしながら自己流の瞑想をすることにしています。

 近所にあるお寺さんに、朝早い時間に行きますと、若いお坊さんが読経をしています。その場に、勝手に上がり込んで、手を合わせます。

 雑念に襲われながらも、次第に心が穏やかになります。座禅ほどの効果とは、ほど遠い状態でしょうが、それが契機でひらめくことは、これまでも何度も体験してきました。

 おそらく、緊張した状態から、リラックスした状態に、交感神経が副交感神経に切り替わり、アルファー波が出て来るのかもしれません。それらが功を奏して「ひらめき」に繋がるのでしょう。

 中国には、「三上(さんじょう)」という言葉があることは、広く知られています。

 「馬上」は、馬の背で揺られることです。

 「枕上(ちんじょう)」とは、枕の上、すなわち横になっていたり、眠ったりしているときに、湯川秀樹博士がノーベル賞を受賞するようなアイディアが湧くようにひらめきがあるかもしれません。

 「厠上(しじょう)」の「厠(かわや)」という字は、トイレのことです。トイレに座っているときに、良いアイディアが浮かんでくるといいます。

 三上による空間軸の変更も、試してみる価値はありそうです。



■3-25 原理・原則主義 ものさし思考と上位概念主義を基本思考とする


 「組織で動く」ということは、経営理念や定款を最上位の判断基準とし、それに基づいて方針を決定したり、計画を策定したりし、また、規定・内規等を定めたりします。これを「ものさし思考」とか「ものさし主義」呼びます。

 「ものさし思考」とは、どのようなものなのかについて考えてみましょう。

 日常のビジネス業務というのは、大なり小なり「判断業務」が、つきまといます。たとえば、報告書を書くというときに、どの様なことを書こうか、箇条書きにする人もいるでしょう、箇条書きにするのに、消しゴムで消せる鉛筆で書くか、ボールペンで書くかという判断が発生するかもしれません。いきなりパソコンに向かって作業を進めるという判断をする人もいるでしょう。

 この判断をするときに、何を基準にするか、これを「ものさし思考」といいます。上記の例ですと、修正を容易にできるかどうかということを基準にしますと、鉛筆かPCかのいずれという判断になるでしょう。

 ところが、イメージを大切にする人は、紙に、いろいろと書きながら作業を進めます。いろいろと書いているうちに、次第に全体構想がまとまってきます。そのイメージができたところで、PCに向かいますと、アイディアを整理しながら、作業を進めやすくなりますので、その手順になれている人は、このような方法を採るでしょう。

 人により、判断基準が異なります。その判断基準を「ものさし」といいます。

 企業活動では、上述のように、個人の判断のようなばらつきが出ては困りますので、見える化が成されている企業が多いでしょう。

 たとえば、ひとつの作業を進めますのに、マニュアルが準備されているかもしれません。しかし、過去に事例がないような非定型の作業の場合には、マニュアルはないでしょうから、自分で考えなければなりません。

 その時に、関連する内規や規定があれば、それが「ものさし」のひとつとなります。取り組もうとしている作業にもよりますが、業務推進に観する作業でしたら、部門の月度方針計画書を利用できるかもしれません。その方針計画書より、さらに上位にあります年度経営計画書もありますし、さらにその上位には、中長期経営計画や基本戦略があったり、さらにその上には、経営理念があったりします。

 このように、関連する上位の「ものさし」を利用することを「上位概念主義」といいます。ものさし思考というのは、「上位概念主義」という考え方に基づいて、判断したり意思決定をしたりします。

 「上位概念主義」というのは、「ものさし主義」の一環として、判断基準となる部門や月度などの計画書や規定・内規等を作成する場合には、上位の概念に反しないことが求められます。

 ものさし主義というのは、判断基準の尺度となります、経営理念や定款、規定・内規等に照らし合わせて判断する手法のことです。そして、その「ものさし」には、種類だけではなく、いろいろな判断レベルでも異なります。

 階層化された「ものさし」を上手に使いこなせることが、ビジネスパーソンの判断力の善し悪しに繋がります。原理・原則に基づくことにより、大きく道をそれ、方向違いのことを売るような、大きな失敗を避けることができます。




3-26 原理・原則主義 コンセプトを明確に

 私達が、「企画書を書く」などの作業(プロジェクト)をする時に、その作業による成果物が、「本当にそれで良いのだろうか」と判断に困ることがあります。

 たとえば、部長から「○○地区を新規商品のテストマーケットにしたい」というテーマが出されたとします。それを、チームとして取り組むのではなく、関係者各自が自分の考えを提案する形式だとしますと、一人一人がてんでんバラバラな提案を出してくるでしょう。

 なぜ、「○○地区」がテストマーケットとして選ばれたのか、新商品のコンセプトは何であるのか」「なぜ、チームではなく、関係者ここの作業にしたのか」等々、種々の要件のコンセプトが明確でありません。これでは、課題を出した部長自身も、判断基準が不明確で、最終的に、どれが良いのか、判断に迷うのではないでしょうか。


 別項で「ものさし思考」「ものさし主義」につきまして記述しましたが、その一環として重視されるのが「コンセプト(概念)」です。

 何かを企画する時などにおいて、それを決定する時に、何のために、なぜ必要なのか等の目的やその背景を含む基本思想を、ここでは「コンセプト」といいます。

 企業におきましては、その会社の企業理念、創業者精神や定款など最上位の意思決定のための「ものさし」、すなわち判断基準です。同様に、この作業を進めるときの直近の「ものさし」が、この作業のコンセプトなのです。そして、それがさらに上位の概念とベクトルがあっていなければならないのです。


 私達が、ものごとを判断する時に、対象事象であります作業のテーマが、どの様な背景で生まれたのか、何のためにそのテーマが選ばれたのか、そのテーマにより、企業・組織はどの様な方向に向かおうとしているのか、これが「コンセプト」なのです。

 コンセプトという「基本思想」には、何かに対する差異化(差別化)、すなわち戦略的な思想も含まれます。

 たとえば、「会社の雰囲気が暗いので、元気な会社にしたい」というテーマが上がったとします。「暗い雰囲気→元気な会社」と、「これまでの自社の雰囲気」ということに対する差異化(差別化)、すなわち変革のための戦略を構築するということがコンセプトの基礎となります。

 なぜ暗い雰囲気なのか、それらを払拭させるための方策は何か、それを実現するために何を、だれが(どの部門・組織)が、どの様に、いつまでに、どのレベルまで持ってゆくのかなどの判断となります、基本的な考えが、このテーマのコンセプトです。そして、それがプロジェクトを推進していく上におけます、判断基準、すなわち「ものさし」に相当するのです。

 当然、「ものさし」は、上位概念主義に基づき、上位概念にそった内容出なければなりません。「今年度の経営計画」、引いては、自社の経営理念や基本経営戦略というような上位概念のながれを汲んだものでなければなりません。





■3-27 原理・原則主義 コンセプト、「ものさし」が正確かをチェックする


 「コンセプト」というのは、ある作業(プロジェクト)の「ものさし」ですので、比較する尺度が狂っていては、狂った「ものさし」をもとに判断をすれば、誤判断になりかねませんので、「ものさし」といえません。

 それでは、間違えのない「ものさし」を作るには、どうしたらよいのでしょうか。

 「ものさし」を作る基本は、自分の会社なり、自部門なり、自分自身なり、その作業をする主体者の理念や経営のあり方・生き方の本質や、それを進めるに当たって「大切にすべきこと=価値観」にそったコンセプトになっているのかどうかをチェックすることです。

 換言しますと、主体者の価値観を見える化したものがコンセプトであるといえます。この手法を、正確かどうかの判断だけではなく、「コンセプト創り」にも利用することができます。


 この様な抽象的な内容を、「ものさし」として見える化するのは容易ではありません。「ものさし」作りの方法としては、ロジカル・シンキングをベースにしたクリティカル・シンキング的手法が使われますが、具体的な手法は、弊著「クリティカル・シンキングがよくわかる本(秀和システム 今井信行著)」で詳述していますので、お手数でもそちらを参照してください。

 ここでは、あまり大きな課題ではないときに、私が利用する方法のひとつをご紹介します。

 経営理念などを、「ものさし」に取り込むという意味で、「経営理念→ものさしの目的」ということを頭の中に映像としてのイメージを描いて、その両者の相関関係は何かを列挙します。

 実作業をするときには、用紙のトップに、経営理念を四角で囲み、その右に右向きの矢印を図で示し、課題テーマを記述します。その同じボックスに、コンセプトとなり得るキーワードを書き込みます。

 次の作業として、上述のキーワードを起点に、マインドマップの手法を用いて、キーワードを展開したり、テーマによりましてはロジックツリーを作成したりして、発散思考をします。

 この過程で、重要なことは、作業を進めているうちに生じてきたキーワードが、新たに見つかった場合には、新しい発想に繋がりますので、多少面倒ですが、マインドマップやロジックツリーを作り直します。

 アイディアが出尽くしましたら、マインドマップやロジックツリーのグループ毎に、主語・述語形式を用いた単文にして表記します。この時に、主語や述語のいずれかを省略しないことが大切です。

 その単文を、さらにグループ化し、それらを1ページにまとめてから、重点順位順にそれを再整理します。そして、それを俯瞰的に見ながら、一言集約(エッセンスの短文化)します。項目が多い場合には、ピラミッド・ストラクチャーを利用して、一言集約作業を行います。

 一言集約の内容が「部分最適ではなく全体最適になっているか」という視点で、最終チェックをします。

 基本的には、ここで集約されました一言集約が、「精査された新コンセプト」となります。また、それが、この作業の進捗管理をしたり、作業が、コンセプトにそって進められているかを確認したりする時のチェックリストとなります。

 コンセプトも、ものさし思考の一環として、活用すべきビジネスパーソンの大切な思考法であることを再確認したいですね。


 
 
 
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