経営コンサルタント歴40年余の経験を活かしてお手伝いしています 
 あたりまえ経営のきょうか書

管理職編



 「あたりまえ経営のきょうか書」は、「時代即応企業創りを目指して企業体質”強化”する”教科書”」として、経営コンサルタント歴40年余の実体験から、そのノウハウをご紹介いたします。

 企業経営者や管理職だけではなく、経営コンサルタントや士業の先生方にも参考となると信じています。
 

 
“真”のプロが実践している発想法と行動術
あたりまえ経営のきょうか書
管理職編


■ 2 プロの管理職は、このように発想・判断・行動する



 経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。

 管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。

 「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。

 難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。

 ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。


 
 
2-01 こんな管理職にはなりたくない
 
 
 筆者は、経営コンサルタントとして、経営者・管理職の皆様と接する以外に、業務の現場で、管理職や社員の皆さんとお話したり、ときには、営業パーソンと同行して顧客訪問をしたりします。
 
 その時に、いろいろなことを感じますが、その中から、いくつかご紹介いたしますので、ご参考になさってくださると幸いです。
 
 
◇ 実状誤認のまま判断・指示
 
 相手の言ったことを鵜呑みにして、その裏をとるという姿勢に欠けていることが多いです。
 
 言葉の字面、表面的な意味合いを、自分勝手な解釈をして、そのまま受け入れてしまっているのです。管理職自身だけではなく、部下にも「ウラを取る」ということを習慣化させる必要があります。
 
 それをしませんと、実状を誤認してしまい、あるいは不完全な理解のまま、問題を捉えてしまい、それに基づいて判断してしまいますと、適切な判断ができないままでいることになり兼ねません。
 
 ロジカル・シンキング・ツールなどを駆使して、実状を整理し、重点化し、その上で重点順位を定めて判断します。
 
 ところが、その逆のことになりますが、判断に優先順位をつけたり、内容を精査しない状態であったりしたまま、その判断に固執しすぎることがあります。判断や業務の中間でチェックをしながら、業務を推進して行くということも実行して欲しいですね。
 
 
◇ 知識偏重、過去の延長線上での思考
 
 「教科書的」な知識だけでは、昨今のビジネスの世界では適切な判断ができないほど、世の中は急速に変化しています。さらに「複雑化」していますので、過去の経験がそのまま活きるとは限りません。過去の延長線上での思考は禁物です。
 
 一方で、過去の蓄積は、知恵・ヒントの宝です。矛盾するようなこの実状を正しく受けとめる力が管理職には必要なのです。
 
 
◇ 表面的な解決策
 
 適切な判断というのは、過去の経験が活きてきますが、上述のように、過去の経験が阻害要因にもなります。
 
 クリティカル・シンキング的発想を持ち、「この判断はこれで良いのだろうか」ということの反復が必要です。
 
 その時に、安易な判断や、自分の信念とは異なるような妥協は好ましくありません。関係者をじょうずに納得させ、トラブルなどを治めるときに、関係者間の折衷案を提示するようなやり方は、時として後に引き、その後の混乱を引き起こすこともあります。
 
 判断は慎重に、しかし迅速に行う必要があります。
 
 
◇ バランス感覚の欠如
 
 自分の信念を貫くことは、上述の通り必要ですが、自己過信や背伸びをしすぎてしまいますと、自分の未熟さに気がつかなかないでいることもあり得ます。
 
 「経営はバランスである」という名言があります。バランス感覚に欠け、全体把握ができず部分最適を追うような管理職にはなって欲しくないですね。
 
 投資対効果というコスト意識を持つ視点も必要です。
 
 一方で、部下も人間です。感情というのは、わかっていても抑えられないことが多いです。部下の性格をキチンと把握し、それにそった対応が必要です。「正論と気持ちのバランス」を忘れてしまいますと、部下からの尊敬は得られません。
 
 
◇ 謙虚さ不足 上から目線
 
 管理職は、上から目線で見がちです。部下より高い所から俯瞰的にみることは必要ですが、部下と接するときには、部下の目線にまでおりて、相手を尊重し、対等に接することも必要です。
 
 それには、謙虚さが必要です。人間として至らないところが自分にもあることを認識すべきです。
 
 人は、それぞれ、皆良いところを持っていると考えます。ある部分においては、管理職といえども経験や知識が不足していることもあります。自分の見識眼が充分でないこともあります。
 
 それを常に自分に言いきかせることにより、自分自身も人間として成長するのではないでしょうか。
 
 
 「この様な管理職になりたくない」というタイトルで書いてきましたが、「この様な人間になりたくない」と平素、筆者が自分に言いきかせていることの一部をご紹介しました。ご参考になれば幸いです。
 
 
2-02 精神論だけでは経営管理はできない
 
 私は、経営コンサルタントとして営業部門強化の一環としまして、「営業強化設備」の導入という方法を長年行ってきました。
 
 「設備」といいますと、大変大仰に聞こえるかもしれません。「設備」という言葉の代わりに、「仕組み」「システム」というような言葉を使うこともあります。
 
 営業設備というのは、営業部門向けICTシステムのひとつであります「SFA(営業支援システム:Sales Force Automation)」の思想に通じるところがあります。営業設備といいましても、SFAのような大きなシステムではなく、日常業務の報連相のやり方を、システマティックに進める方法です。
 
 これは、「温かい管理」にも繋がることです。
 
 温かい管理では、双方向による報連相が不可欠です。双方向コミュニケーションを通じて、自社のノウハウや情報の蓄積を行います。
 
 報連相を行う場合には、目の前に、報告書や関連資料を置いて、それを報告をする側も、報告を受ける側も、同じ資料を見ながら、目と耳と口を使ってコミュニケーションを行います。
 
 この間、交換する情報量は相当ありますし、そこにノウハウが潜んでいます。双方向コミュニケーションのポイントは、たとえば、指示事項や、それに対する返答などを完結に記録をとっておきます。
 
 それを再整理しますと、ノウハウ集になります。
 
 これらをLANを通じて、蓄積し、それを活用するのが上述のSFAシステムです。そのデータと、販売管理システムや財務管理システムなどの基幹システムとリンクさせますと、管理会計情報として活用できます。
 
 実務を通じて蓄積されたノウハウを、活用しながら、業務を進める、スパイラルアップによる企業成長に繋げられるのです。
 
 





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2-03 報連相を通じてノウハウを蓄積する
 
 別項で、双方向コミュニケーションにつきまして記述しています。
 
 ここで、ご紹介します双方向コミュニケーションは、文書と口頭の両者を併用することが、一般的に言われていますやり方と異なるところです。
 
 双方向コミュニケーションで交流されました情報を、文書と記録を残して行きますと、それが財産として残り、それを再活用することができます。
 
 年度や月度の計画を立てるときに、行き詰まりますと、なかなか、その壁を突破することができません。その時に、ヒントとなりますのが、計画立案マニュアルです。
 
 計画立案マニュアルは、はじめから大上段に構えて「マニュアルを作る」と考えなくても良いのです。繰り返される計画立案時におけます苦労や問題点などを、PDCAの一環として蓄積して行くことにより、自然と記録となり、それを整理しながら、マニュアルらしくして行けばよいのです。
 
 日常業務も、業務報告書をベースに双方向コミュニケーション・報連相を行ったときに、業務報告書だけではなく、双方向コミュニケーションでの会話のポイントを報告書に吹きして行けばよいのです。
 
 それらをもとに、整理しますと、ノウハウ集が、マニュアルとして成長して行きます。日常業務で、困ったことが起こったときに、そのマニュアルがヒントを与えてくれます。
 
 日常業務は、PDCAに基づき、報告が成されます。文書で作成された報告書や関連する資料を目の前にして、双方向コミュニケーションを行い、双方向コミュニケーションで交わされた会話のポイントを、報告しに記録しておきます。それを整理することにより、マニュアルとして、いつでも、誰でもが会社のノウハウに接することができます。
 
 その時に、管理職は、管理職の立場として、どのように部下の報告を聴き、どの様なアドバイスをしたら良いのかも、記録を整理すれば「管理職としての指導マニュアル」ができるのです。
 
 文書としての記録が残っていませんと、個の経験が、その関係者だけの財産として偏重し、組織の財産となりません。
 
 どの様なことが起こったときに、どの様な考え方をすればよいのか、どの様な取り組み方策があるのかなど、多くの示唆を得ることができるようになるでしょう。
 
 「継続は力なり」という名言がありますが、私は、それをもじりまして「蓄積は力なり」と言っています。
 
 
【 注 】 詳細は、それぞれの当該する項をご参照ください。
 





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2-04 「実行」と「実効」とが合致しない
 
 
 経営コンサルタントを長年やってきていますが、新規の顧問先だけではなく、経営者・管理職とお会いするときにもしばしば、「御社では、営業日報を使っていますか」という質問をします。
 
 多くの場合、「何を、当たり前なことを訊くのか」という顔をされます。「もちろんです」という元気な声が返ってくることもあります。
 
「活用していますか?」と尋ねますと、一瞬戸惑ったり、口ごもったりしました後、「ええ、もちろんです」という答が返ってきます。
 
 さらに、「効果が上がっていますか?」と尋ねますと、次第に声が小さくなって行きます。
 
 
 これは、何を物語っているかといいますと、「実行しても,実効に繋がっているとは限らない」ということを認識して欲しいということです。
 
 宗教家のアーノルド・ウィパー氏は、「知っていても、実行していなければ、知らないのと同じことである」という名言を発しています。
 
 ゴルファーの中には、教え魔と呼ばれる人が多くいます。ゴルフ関連の書籍や雑誌は、数えられないほどで回っていますので、いろいろな知識や情報を得ることができます。
 
 しかし、いくら、それらを読んだり、ビデオを視たりしましても、なかなか上達しません。すなわち、「知っている」ということと「できる」ということは異なるのです。
 
 お役所の役人の多くは、超有名大学を卒業している方がたくさんいます。彼等は、頭もよく、エリートコースをばく進しています。ところが、お役所から出される法律案は、ざる法が多いです。
 
 それどころか、ざる法であることを知りながら、法律案として出して、数を背景に国会を通しています。
 
 法案が出されるということは、その必要性があるからで、頭のよい彼等は、それよくわかっています。しかし、自分達は、問題を解決するために、法案を出しています、と、自分達が、やっていることを主張する行為が横行しています。
 
 すなわち、必要性を「知っている」けど、本来、効果が上がるような立法を「やっている」とは、言えないのです。「知っている」ということと、「やっている」と言うことは異なるのです。
 
 ましてや、それにより「効果を上げている」とは、言えないことが多いのです。
 
 法律、営業パーソンでいいますと、「知識」を使っていますが、法律が機能しない、すなわち、「効果が上がっていない」のです。
 
 いくら実行しても、実効に繋がらないのでは、企業経営は成り立ちません。「一所懸命にやっています」だけで、「それは素晴らしいですね」とは言っても、経営者の存在価値は、「無」でしかありません。成果に結びつかなければ、企業は続けていけないのです。
 
 「管理とは、個を活かし、個を束ね、結果に結び付ける」行為でもあるのです。
 
 





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2-05 「逆転の発想」で問題に取り組む
 
 
 経営コンサルタントとして、企業を訪問したときに感じることのひとつが、「思考の固定化、狭窄化」ということです。
 
 経営コンサルタントの視点で視ますと、「なぜ、あのようなことをやるのだろうか」「そのやり方では効率がよくないのではないだろうか」「その作業は不要なのではないだろうか」というような思いをすることが多々あります。
 
 社員さんに、なぜ、その様なことをするのですかという質問を投げかけますと、一様に「いままでに前例がないから」「先輩達が、この様にやってきているから」「マニュアルにこの様に記述されているから」という回答が返ってきます。
 
 クリティカルな発想をすれば、疑問に思うようなことに疑問を持てないために、「それ以外の方法はない」と、決めつけてしまっています。発想のフレキシビリティに欠けた判断しかできない、というような姿勢から、問題を解決できないでいるのです。
 
 要は、岡目八目という現象が、企業には転がっているのです。
 
 
 かつて、日本のロケット開発の先駆者であります糸川英夫博士は、その著書に、「逆転の発想」ということを記述しておられました。経営コンサルタントになる前に紐解いた著書ですが、目からうろこの思いで、夢中になって読み、繰り返し読みました。
 
 それから半世紀以上経った今日でも、その内容の一部をいまだに記憶しています。
 
 その一つの記事が、「自動車タイヤの改良」というテーマでした。
 
 道路表面が雨で濡れていますと、ハイドロプレーン現象を起こして、タイヤが滑ってしまいます。タイヤメーカーには、それを最小限に抑えるタイヤの開発が求められたのです。
 
 メーカーは、日夜、その研究を続けてきているのに、その問題が解決しないということは、今までの発想が間違えているかもしれないと考える必要性を説いています。すなわち、クリティカル・シンキング的な発想の必要性を、糸川先生はおっしゃっていたのです。
 
 ここで、逆転の発想が説かれたのです。
 
 すなわち、クリティカル・シンキング的発想をしますと「タイヤの改良でスキッド問題を解決する」という命題に問題があると命題そのものの正当性の問題への取り組みがわかります。「タイヤの改良でスキッド問題を完全に解決することは困難である」というように、発想に切り替えなければならないというのが、「逆転の発想」です。
 
 タイヤの改良だけで、この問題を解決することが困難であれば、自動車の制動方法の改良で何とかならないか、という命題が、はじめに上がりました。しかし、自動車メーカーが、日夜研究している重要テーマの一つであり、タイヤメーカーとしては、勇み足の感がぬぐえないという結論に達しました。
 
 そこであきらめずに、タイヤがスキッドするのは、ハイドロプレーン現象が主因ですので、この現象を起こらないようにすればよいとう思いを続けました。しかし、タイヤ側での研究を重ねても、その問題は解決できないでいたのです。
 
 堂々めぐりの末、ある若者研究者が、「コロンブスの卵だ」と叫んだかどうかは記録がありませんが<失礼しました>、ここで逆転の発想が起こったのです。
 
 タイヤの相手である、道路舗装の方で問題解決はできないかという、いままで考えたこともない方向に発想が飛ぶことになりました。今日、多くの道路で、ハイドロプレーン現象を最小限に抑えた舗装が成されていることはあたり前になっていますが、当時は、それがあたり前ではなかったのです。
 
 「逆転の発想」
 私が、今日まで、経営コンサルタント業を続けて来られたのも、この著書が多いに私を育ててくださったからなのです。
 
 

2-06 社員の意識を変えるのは不可能に近い?
 
 
 カナダの精神科医でありますエリック・バーンの有名な言葉があります。
 
   他人と過去は変えられないが、
   自分と未来は変えられる
 
 この言葉を耳にしましたときに、最初は、「なるほどね~」と同調しました。
 
 経営コンサルタントになり始めの頃は、顧問先で、「こうすれば会社はよくなる」「これを実行すれば売上が上がり、利益率も改善される」と強調しても、空回りをした苦い経験を今でもはっきりと覚えています。
 
 これらの経験を通していろいろと体験しましたが、経営コンサルタントの存在意義を考えますと、自分自身の力のなさを痛感しました。
 
 しかし、そこで諦めたのでは、未来を約束されたようなサラリーマン人生を棒にふるってまでして転職したのか、何のために経営コンサルタントになったのか、その初心に戻ることにしました。
 
 
 それでは、どのような経営コンサルタントであるべきかという前向きな姿勢で、経営コンサルタントとして進むべき道を模索し始めました。
 
「他人を変えることができないのであれば、経営コンサルタントがいかによい提案しても企業は良くならない」「それでは、経営コンサルタント業は成り立たず、この様に経営コンサルタント業が存在することはない」と考えるようになりました。
 
 それでは、どうすれば、他人、ここでは顧問先の人達を変えられるか・・・
 
 連日、この問題に自問自答しました。その次の日も・・・ そして、また、その次の日も
 
 このままでは、自分は経営コンサルタントを続けることができないという、恐怖感さえ抱くようになりました。
 
 そこで思い出しましたのが、既述の通り、日本のロケット開発の先駆者、糸川英夫博士の「逆転の発想」という本のことです。この中で、「スキッドしないタイヤの開発」ということが記述されていたことを思い出したのです。
 
 顧問先の社員が「他人」なら変えることはできないかもしれませんが、他人ではなく、自分の身内ならどうなのでしょうか、自分の家族ならどうなのでしょうか、自分自身ならどうなのでしょうか、という発想に切り替えたのです。
 
 最初にご紹介しまた、バーンがいうように、他人は変えられないかもしれませんが、顧問先が「他人」ではなく、自分の会社なら、「変えられる」はずです。
 
 そこで、これまで顧問先を「御社」とか「貴社」と言っていたのを、「わが社」という言葉に代えるようにしました。他社(者)なら、変えることはできなくても、わが社なら変えることができるかもしれない、否、変えなければ成長派はおろか、存続する危うくなるかもしれないと考えたのです。
 
 しかし、知識や精神論をいくら説いても、人の考え方や行動、気持ちは変わりません。
 
 
 当時、私は、営業部門の戦略的強化という命題を掲げて、クライアントと契約することに焦点を合わせていました。
 
 自分がアメリカで営業活動をしていたときに感じたのは、顧客との商談の流れにおきまして、自分なりのノウハウを見出すことができるのではないかという仮説を持っていました。
 
 営業部門強化の骨子も、営業ノウハウの蓄積、←その蓄積は、日常の営業活動のコミュニケーションをベースに進める、←そのためには、営業活動とそれに対する管理職の指導・アドバイス等を関連付けた事項を蓄積することではないかと、仮説から、確信、それを自分の商品と、格上げして行きました。
 
 蓄積のためには、文書化が必要で、文書化の基本を営業日報としました。しかし、従来の営業日報は、日にち単位で管理されていて、商談の流れというフロー管理には不向きでした。
 
 フロー管理をしやすい日報を考案して、それを「営業設備」と称して、クライアント獲得活動を始めましたところ順調に進むようになりました。
 
 営業パーソンに、いくらアドバイスをしても、なかなか効果に結びつかないコンサルティングでしたが、営業設備を使うようになりますと、次第に、営業パーソンの意識も変わり、コンサルティングがしやすくなったのです。
 
 他人を変えることはできなくても、クライアントの営業パーソンの意識を変える効果的な方法を見つけることができたのです。しかも、その意識を持続させることにも繋がるのです。
 
 これが、私は半世紀近くも経営コンサルタントを続けられた主因だと断言できます。
 
  【 注 】 具体的な手法は、関連事項をご参照ください。
 
 





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2-07 コンピテンシーを集合知に活かす
 
 
 ビジネスパーソンの多くは、ライバルとか自分が目標としたい人とかを持っているでしょう。それが、自分自身のモチベーションアップにつながることも多いです。
 
 なぜ、自分は、それらの人より劣っているのでしょうか、という思いを持つこともあるでしょう。
 
 その特性を知り、身に付ければ、少しは現状よりも自分を成長させることができると思いませんか?
 
 誰かの優れている点を、分析し、研究し、それを他に転用できれば、「蓄積は力なり」という考えで蓄積してきた自社のノウハウ、集合知を充実するのに活かすことができます。これを「コンピテンシー」といいます。
 
 
 「コンピテンシー(Competency)」とは、仕事を効率よくバリバリとでき、業績向上に効果を上げられる、優れた業績や働きぶりをもたらす人に見られる特性のことです。
 
 コンピテンシーは、「動機(Motive)、性向(Traits)、技能(Skills)、知識(Knowledge)」などにおける総合力であるといわれます。(【Wikipedia】)
 
 コンピテンシーを活かしている人が、なぜ業績が良いのかを、これらの切り口から見て行きますと、それを自分自身や、自分の業務、会社として等々に活かすことができます。
 
 業績がよい人は、どの様な気持ち、考え方で仕事に取り組んでいるのでしょうか。自分と、どこが異なるのでしょうかと検討しているうちに、目からうろこが落ちるように、その理由がわかるかもしれません。
 
 その人達は、どのような性格を持ち、それをどの様に活かし、自分の強みにしているのでしょうか。逆に、自分の弱点を、どの様にカバーしているのでしょうか。自分自身に、それを活用すると自分の長所を活かし、短所をカバーできるようになるかもしれません。
 
 それらの人達は、その様なスキルや知識を、どのレベルまで身に付け、どの様に活かしているのか、それを比較してみることにより、自分に不足しているスキルや知識を身に付けるとか、レベルアップをさせるとかなどの対応を考えることも必要でしょう。
 
 
 当然、コンピテンシーを活かしている人達と、自分は仕事のやり方や取り組み姿勢、性格や育成環境など、多くのことで異なるでしょう。ですから、彼等のコンピテンシーを、そのまま、まねをしてもうまく行かないでしょう。
 
 自分なりにアレンジして活かす方法を編みだすことにより、自分自身に変化をもたらすことができるでしょう。
 
 
 一般的に、コンピテンシーというのは、「長所を転用する」という意味で用いられますが、短所・欠点においても、同じ手法を用いることができます。
 
 コンピテンシーは、それを身に付けている本人も気づいていないことが多く、本人に直接聞いても、なかなか求めるような回答は得られないでしょう。本人から、感じ取ることが良策といえます。
 
 その時に、その人の外見的な能力や成果だけを見るのではなく、その人の思考特性とか行動特性というものを深く掘り下げて、多面的に見ていくことが肝要です。


 
 
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