経営コンサルタント会社社長の竹根好助に師事して四年弱の和田はようやく経営コンサルティングというのはどのような職業なのかがわかってきた。前職は理化学機器販売会社で営業担当をしていたが、大山部長コンサルタントから小売業のコンサルティング経験を積むように指示が出された。
複数のプロジェクトを並行して進めることに難しさを感じていた和田は、竹根の「経営コンサルタントは複々線思考による行動ができなければならない」という言葉をかみしめながらの毎日である。
秋葉原や新宿に地理的に挟まれた荒岩電気店は年々売り上げが低減してきた。いったんは再建を考え、経営相談にも赴いたが偶然和田に巡り会い、はじめは和田という見知らぬ男に警戒心をあらわにしていた。顧問料すら稼ぎ出せない現状のため消極的であった荒岩は、和田のある一言と熱意にほだされてきた。
一方で和田がプロとしてまだ半人前で悩んだ結果、先輩のアドバイスをヒントにひらめいた秘策と必死で取り組んだ戦術で次第に荒岩電気店の売り上げが回復してきた。はじめはコンサルタントに無理解であった家族も協力し、家族としての結束力も強まった。
まだ駆け出しの和田には自分が知恵を絞り、努力をした結果、自分でも予想しない方向に変化して行くことに驚きと喜びを感じながらの成長を先輩も高く評価してくれる。経営コンサルタント業という意外と誤解されやすい職業に就きながら成長して行く物語である。 |