第3連載  知って得する経営情報

                               税理士 谷澤 佳彦 氏  
  
     谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業
    を中心にご活躍中です。
     また、最近はBUN-NET異業種交流会でも中心的な役割を演じ、
    社会奉仕的な活動も積極的になさっております。

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■  事業税について  ■

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1.事業税とは
 事業税は都道府県が課す地方税です。

2.納税義務者
 事業法人及び個人事業主(小規模の不動産所得者等を除きます)

3.事業税の課税趣旨
 「応益負担の原則」
 企業は地方自治体から何らかの役務提供を受けています。その役務に対応する
負担が課税趣旨です。

4.事業税の計算過程
 原則として、法人税または所得税の計算過程を利用して所得金額を算出、所得
金額に税率を乗じて税額を算出します(電力会社等所定の事業を除きます)。

5.現状の事業税の計算過程の採用根拠
 事業税本来の課税趣旨からすれば、赤字であっても地方自治体から役務提供を
受けているので、事業税の負担はあるべきです。よって、税額の算出方法は、
売上高、稼動面積等事業規模を利用すべきです。しかし、このような課税方式
を用いれば、法人税あるいは所得税の計算をした上で、更に事業税の計算も行
わなければならず、企業等に負担を要求するとの理由から、法人税等の計算過
程を利用していました。
 
 しかし、この方法であれば、赤字の場合、課税負担は生じず、応益負担の原則
が満たされません。
  
6.今後の展開=外形標準課税
 5.の考え方から、本来の応益負担の原則を適用するような計算方法が提示さ
れています。検討されている課税方式の一部は以下のようなものです。

   6.1 付加価値(=利益+給与+支払利息+賃借料)に対して課税
   6.2 給与総額に対して課税
   6.3 資本金に対して課税

 これらを組み合わせる案もあります。

7.会計上の取扱い(法人)
 事業税は、応益負担の原則からすれば、利益に対する課税とならないので、
会計上では伝統的に販売費一般管理費に計上されていました。しかし、実態は
利益に対する課税とのことで、法人税等と同様の計算過程を経ることから、
平成11年から税引前利益の次に、すなわち、法人税・住民税と同等に取り扱
われるようになりました。しかし、本来の応益負担の原則に戻すなら、販売費
一般管理費に戻るかもしれません。

 
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