第二連載 グロマコン経営指南
 

                 経営コンサルタント 久崎 力 氏


      久崎先生は、大手総合電器メーカーに長年おられ、現場から営業
     部門、海外子会社などでいろいろなご経験を積んでから、経営コン
     サルタントとしてご活躍中です。
      幅広い知識と経験を活かし、製造業を中心にご指導をなさってお
     ります。


■■■ ”色”の効用について ■■■


◆ 日常生活での”色” 

 旅先で立ち寄ったHongKong新空港ではロビーの椅子から案内板まで全て青に統

一されていた。このコンセプトに最初は感心したが、トイレの表示も男女とも青

色マークであり最初は戸惑った。日本では男性用は"青"又は"黒"女性用は"赤"色

が常識になっており、遠くからでも簡単に識別が出来、簡単に探す事が出来るの

は嬉しい。

 ニュージランドの或るホテルでは バスタオル、タオルはグレーとダイダイとい

う様に一セットずつ色分けしてあり、各自で区別できる配慮はありがたかった。

いかに"色"にインパクトがあるか又いかに無意識のうちに"色"に左右されている

かを示す事例である。

    管理への色の導入

 20年以上前のことになるが、グループ会社の生産革新を担当した時、その社長

が工場を案内してくれた。時々組立ラインで作業中の女性に棚にあるトレーにつ

いて聞いている。その内容は何時からここにあるのかなど簡単な事柄である。彼

は毎週工場を巡回して同様の質問をしている様であった。

 当時はプリント板への部品の取り付けは手作業であり、全ての部品が揃わなく

ても現場で作業は出来た。注文は途中で客先都合でキャンセルや納期延期があり

、その場合は現場にトレーが滞留し棚に置かれたままとなる、そこで先の社長の

質問となったのである。

 私の社長への提案は現場へ払い出したトレーに月を示す"色"を表示する様にと

の事であった。当時部品の取り付けは全て手作業で部品の確認も目で見て行って

いた、今は使われていないが部品にはカラーコードが使われており、作業者は色

で部品の種類を判別していた。

 従って色で数字が容易にわかった、例えば"1"は茶色(小林一茶と覚える)、

"7"は紫(紫式部=紫七部と覚える)など、そこで茶色=1月、紫色=7月、

と取り決めた。この色を管理に使えば"色"と"数字"が一致するので誰でも容易に

何時からトレーが現場にあるか分かるのである、以後社長の作業者への質問は無

くなった。更に棚から不要なトレーが除かれスッキリした。

 この色による管理は部品倉庫にも適用された。現在はコンピューターによる管

理が徹底されているので、この様な管理は必要ではなくなったが、しかし"色によ

る管理"はFile管理などその応用は今でも多々あるのではないか。その上"色"は楽

しいし美しい、環境にやさしく心にゆとりをもたらす。幼き頃より色紙に親しん

できた我々の目に温かくそして元気をくれる。